アトピー性皮膚炎13:信頼が大切--白虎加人参湯

9才の男子小学生がアトピー性皮膚炎のため来院した。2〜3歳の頃からアトピー性皮膚炎があり近医や大学病院皮膚科で加療されてきた。入院治療して改善したが、退院後再発し、皮膚科主治医の紹介状を持って当院を受診した。体格は小さくて痩せ型、皮膚は全般に乾燥気味で、顔面、頚部、前胸部、腹部、背部、肘窩、膝窩と広範囲に発疹が認められ、特に顔面と頚胸部に著明である(写真はこの2カ所を経時的に提示する)。
口渇が著明でよく水を飲む。初診時のIgEは1674、好酸球は28%であった。現症には特記することはなく、型通り白虎加人参湯を与えた。2週間後にはや改善傾向が見られ同じ処方を継続した。その後も順調な経過であったが、8ヶ月に来院した時には、初診時より悪化しており、黄連0.5gを追加した。その後順調に見えながら時に増悪していたが、初診より4年5ヶ月後には殆ど完治し、きれいになったと来院された。この時にはIgE620、好酸球1.8%に低下していた。さらに約1年服薬は続け完治して廃薬した。その後も電話連絡で確認したところ再発していないとのことであった。
長い年月がかかった症例であるが、患者は医師を信頼してよく治療についてきてくれたのが完治の第一因であった症例である。
それぞれの時期の顔面、前胸部の皮膚所見を下に提示します。
初診時
2週間後
2ヶ月2週間後
8ヶ月後
1年後
1年9ヶ月後
2年9ヶ月後
4年5ヶ月後

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